大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29年(う)489号・昭29年(う)490号 判決

論旨は原判示第一に記載の建物敷地は被告人が他より賃借中の土地で、建物所有者辻築一男に該敷地使用の権原なく、被告人は自身右土地使用の必要上自己の費用を投じて他に移築したまでのもので、原判示の如く建造物損壞罪に問はるべきいわれはない、原審の事実認定は誤りであるといふに在る。然し仮に所論の如く本件建物所有者がその敷地の不法占拠者であつたとしても、これが収去明渡を求めるには他に方法があり、自力救済は許されないところであり、それが他に移築の目的に出たものであつても、他人所有の建物を所有者の承諾もなしに勝手に取毀ては建造物損壞の罪に該るは勿論であつて、原判示第一の事実はその挙示の証拠により明白であり、記録を精査しても、この点の原審の認定に所論の如き事実誤認の瑕疵はない。論旨は独自の解釈に立つて原審の適法な事実認定を批難するに過ぎないもので採用の限りではない。

(裁判長裁判官 河野重貞 裁判官 高橋嘉平 裁判官 山口正章)

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